「副業をやっているなんてズルい」
そんな言葉、SNSやリアルな会話の中で一度は見かけたり聞いたりしたことがあるのではないでしょうか。私自身も個人事業主として、YouTubeやブログ、Kindle出版など複数の収入源を持ちながら暮らしていますが、正直に言うと「ズルい」と言われる感覚が、いまいちピンとこないんですよね。
だって、企業だって同じことをしているじゃないですか。本業以外に投資をしたり、新しい事業に手を出したり、複数の収益源を持つのはごく当たり前の経営戦略です。

それを「リスク分散」とか「経営努力」と呼んで褒めるのに、個人が同じことをすると「ズルい」と言われる。
この不思議な「非対称性」について、今日は少し一緒に考えてみたいと思います。
正直、〝ズルい〟もんね(笑)
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「副業はズルい」という感覚、どこから来るんだろう




まず整理しておきたいのですが、「副業はズルい」という気持ちには、実はいくつか違う根っこがあるように思います。「単に不公平だから」の一言だけでは、なかなか片付けられません。
1. つい比べてしまう気持ち
同じような給料で働いているはずなのに、片方は本業だけ、もう片方は本業+副業で収入を増やしている。



どう考えてもおかしい…
この「差」を目の当たりにすると、人はどうしても無意識に不公平感を覚えてしまうものです。
2. 「会社に尽くすべき」という価値観とのズレ
日本の職場には長らく、「会社に忠誠を尽くすことが美徳」という空気がありました。
終身雇用や年功序列を前提とした働き方の名残ですね。
そういう価値観を大切にしてきた人からすると、



就業時間外に別の収入源をつくる行為が、なんとなく「会社への裏切り」のように映ってしまうことがあるのかもしれません。
3. 情報格差からくる悔しさ
副業で結果を出している人の多くは、情報収集力や行動力、あるいは何かしらの専門スキル(今回でいえば宅建士やFPのような知識も含みます)を持っています。
それを持っていない側からすると、「自分にはできない」という悔しさが、「ズルい」という言葉に姿を変えてしまうことも、きっとあるのだと思います。
4. リスクを取らないための、心の防衛本能
副業を始めるには、時間も労力も、時には失敗のリスクも引き受ける必要があります。そのリスクを取らない選択をした人にとって、リスクを取って結果を出している人の存在は、無意識のうちに自分の選択を正当化したい気持ちを刺激してしまうものです。「ズルい」という言葉は、そんな自己防衛の表れであることも、実は少なくない気がしています。
「専心義務」って、よく考えると不思議な言葉
副業を制限する根拠として、よく持ち出されるのが「職務専念義務」や「専心義務」という考え方です。でも、これって冷静に考えるとかなり不思議な論理だと思いませんか。
職業選択の”不自由”
日本国憲法第22条では「職業選択の自由」がきちんと保障されています。就業時間外にどんな活動をするかは、本来、働く人自身の自由に委ねられるべき領域のはずです。
それなのに、多くの企業が就業規則で副業を制限し、「会社への専念」を求めてきました。
一方で、企業自身は
本業以外の事業への投資、株式や不動産の運用、M&Aによる新規事業への参入。これらもすべて「本業以外の収益活動」であり、個人が行う副業と構造的にはまったく変わりません。
「会社は副業(多角化)をしてもいいけど、社員はダメ」というのは、正直なところ、力関係を背景にした一方的なルールだと言わざるを得ないのではないでしょうか。
副業禁止の矛盾
実は、こうした矛盾には国も少しずつ気づき始めています。
厚生労働省は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定し、労働時間管理の煩雑さが副業解禁の妨げになっているとして、法改正の検討も進めています。



政府としても、副業を制限する方向ではなく、むしろ後押しする方向に舵を切りつつあるのが今の実情です。
データでちょっと現状を覗いてみる


感覚的な話だけだと物足りないので、実際のデータも一緒に見てみましょう。
副業解禁データ
厚生労働省が2024年に行った調査によると、副業・兼業をしている労働者は全体のわずか3%にとどまり、他社での副業を認めている企業も全体の4分の1程度という結果でした。制度としての「解禁」は進んでいても、実際に副業をしている人はまだまだ少数派なんですね。
副業に興味がある割合
一方で、副業に興味を持っている人は約28%にのぼるという調査結果もあり、「やってみたいけど、まだ踏み出せていない」という人がかなりの数いることもうかがえます。
また、従業員1,000人以上の大企業を対象にした2025年の調査では、
副業・兼業を認める人事制度を導入している企業がすでに過半数を占めているという結果も出ていて、少なくとも制度上は副業容認が「当たり前」になりつつあるようです。
副業は、「一歩踏み出せるか」どうか
つまり、「副業はズルい」という感覚は、まだ多くの人が一歩を踏み出せていない今だからこそ生まれているものなのかもしれません。
少数派だから目立ちやすく、目立つからこそ感情的な反応も受けやすい、そういう構造があるのではないかと、私は感じています。
会社員が取っておきたい、現実的な対処法
とはいえ、感情論だけを語っていても何も前には進みません。ここからは、実際に副業を始める、あるいは続けていく会社員のみなさんに向けて、押さえておきたい具体的なポイントをまとめてみます。
まずは就業規則をチェック
大前提として、自社の就業規則で副業がどう扱われているか、一度きちんと確認してみてください。厚労省のガイドラインでも、副業・兼業を希望する労働者はまず自社のルールを確認することがすすめられています。
「原則禁止」なのか「届出制」なのか「許可制」なのかによって、取るべき行動はかなり変わってきますよ。
公言するかどうかは、慎重に
副業を会社に知られてもリスクがない環境なのか、知られると不利益を被る可能性がある環境なのかは、職場によって本当にさまざまです。
無理に隠す必要がない環境であれば正直に届け出るのが一番安心ですが、そうでない場合は、収入の管理方法(次に紹介します)も含めて、慎重に立ち回る必要があります。
住民税の徴収方法を意識する
副業が会社に知られてしまう、いちばんよくあるきっかけが「住民税」です。給与所得以外の所得がある場合、確定申告のときに住民税の徴収方法を「普通徴収(自分で納付)」に選んでおくことで、副業分の住民税が給与天引きにならず、会社に通知が行くリスクを下げられます。ただし自治体によって運用に差があるので、お住まいの市区町村への確認は忘れずに。
確定申告の基礎だけは押さえておく
副業による所得(給与以外の部分)が年間20万円を超える場合は、原則として確定申告が必要になります。
開業届を出して事業所得として申告するか、雑所得として申告するかによって、経費の扱いや青色申告特別控除が使えるかどうかも変わってきます。
ここは税理士さんやFPさん、あるいは信頼できる情報源で、早めに確認しておくと安心です。
小さく始めて、無理なく育てる
いきなり大きく踏み出す必要はまったくありません。
本業に支障が出ない範囲、生活に無理のない範囲で小さく始めて、様子を見ながらゆっくり育てていく。
これは副業に限らず、新しい挑戦全般に共通する、地味だけど大事なコツだと思います。
まとめ
「副業はズルい」という言葉の裏には、つい比べてしまう気持ち、会社への忠誠を美徳とする価値観、情報格差からくる悔しさ、リスクを取らないための自己防衛など、いろいろな心理が絡み合っています。でも、企業自身が本業以外の収益活動を当たり前のように行っている以上、個人だけがそれを禁じられる論理的な根拠は薄く、職業選択の自由という憲法上の権利とも、どこかで緊張関係にあるのではないかと思います。
制度としての副業解禁は着実に進んでいますが、実際に一歩を踏み出している人は、まだ少数派です。だからこそ、就業規則の確認、税務まわりの基礎知識、そして無理のない始め方さえ押さえておけば、「ズルい」という声に振り回されることなく、自分のペースで新しい収入の柱を育てていけるはずです。
ズルいのではありません。単に、一歩を踏み出したかどうかの違いなのだと、私は思っています。











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